syrup16g Tour 2019 【SCAM : SPAM】大阪公演 感想文

※ご注意※
これはライブレポではなく、感想文です。
また、ネタバレを非常に多く含みます。仙台公演への旅を控えている方で、ネタバレがお嫌な方は、くれぐれも閲覧にご注意ください。

私は今ツアーの「詐欺:迷惑」というタイトルに対して、「これはまた、えらい狙ってきたなあシロップ、面白いけどさすがにちょっと狙いすぎてないか(笑)」という、半分ギャグで言ってるんだろう的な気持ちでおりました。

この二日間、自分自身のこの二つの目で、シロップのライブを拝見するまでは。

その言葉そのものは、蓋開けたらもしかしたら「詐欺っぽいスパムメールがきて迷惑だったから思いついた」みたいな、なんちゅうこともない由来だったりするのかもしれません。
けれども、私は実際にライブを目の当たりにして、この言葉たちの意味するところについて、深く思いを致すことになりました。

「現時点で完璧なsyrup16gを見た二日間」であり、同時に、「今後にも強い期待を抱かずにはおれない二日間」でありました。

セットリストは、もう私も34歳になりまして記憶力もアホみたいな感じですので全曲語りは割愛致しますが、それでもネタバレをめちゃんこ盛り込んでおります。今一度、閲覧についてはご注意くださいますよう、お願いを申し上げます。

両日ともに、アルバム「coup d’Etat」収録「virgin suiside」をSEとして、ライブがスタート。
私はこの曲でずっと鳴っている「チッ、チッ、」というギターの音は心拍計の音と解釈していたのです。
しかしながら、このときばかりは、いつの間にかsyrup16gを探る旅に出かけるタイムマシーンに乗り、迷い込むように連れて行かれた空間で、伸び縮みしながらグネグネとうねり目の横をズゥワ、ズゥワとすり抜けていく時計が鳴らす音のように感じられました。

一日目「SCAM(詐欺)」は解散前の楽曲のみ、二日目「SPAM(迷惑)」は再結成後の楽曲のみ(アンコールを除く)。

一日目、「ソドシラソ」がセットリストに入っていたのですが、この楽曲の歌詞「歌うたって稼ぐ/金を取る/シラフになって冷める/青ざめる」と、「詐欺」と銘打ったこのツアーに、つながるものを感じました。

と言いますのも、MCにおいて五十嵐さんが下記のような事をおっしゃったのですね。

この流れは、ものすごく冗談めかして、「こんな素晴らしい体験をさせてもらって〜」のところなんていかにも心にもない事を言っていますよというような棒読みで、完全にギャグの顔でおっしゃっていたのですが、私は、ちょっと本音も混じっているんではないかと思ったのです。

あくまでも「もしかしたら」ですよ、楽曲を知ってるだけの知らない人をさも理解しているかのように語ってはいけないのを重々承知の上で、それでも「もしかしたらこうかもしれない」という大前提でもってどうか語らせていただきたいんです。

キタダさん・中畑さんって、すごく「ミュージシャン」だなって思うんです。演奏家。職業:音楽家。堂々たる、音楽を生業とする方。

五十嵐さんだって、もちろんそうなんです。私がこの世で一番尊敬する、そう完全に一番、親などよりもずっとずっと強く尊敬している、偉大なるミュージシャンです。

そうなんですけれども、どうも五十嵐さんの言葉、楽曲の歌詞、インタビューなどでの語り口を拝見するに、私個人の感触でしかないんですが、「自分の作ったものがカネに結びつく」っていうところを、これだけたくさんのファンがいる今でも、完全に割り切れてはいない、すごく気負っているように私には見えるんですね。

素晴らしいものを作っているという自負はおありだろうし、ご自身の楽曲をちゃんと好きでいらっしゃると思うんですが、「だからって俺みたいな人間が自分を切り売りするようなことをして、それでカネを取っていいのか、」みたいな雰囲気を、発言の端々に私はどうも感じるのです。あくまでも「私はそう感じる」ですよ。いちファンの勝手な解釈です。

だから、「詐欺」「迷惑」っていうツアータイトルに、なんていうかシロップの(主に五十嵐さんの)中に点在する、しこりというか、「こんなずる賢い俺に、わかった上でひっかかってくれたファンのみんな」みたいな意味合いが、少なくとも私の中には、この二日間を通して生まれた。
いや、もちろん「ちょっと美化・神格化し過ぎだろうか、でも本当に心底そう感じたんだもん、いやもう少し冷静にならないと盲目ファンと言われるのでは、でも実際感じたんだもん、いや、」と、私も葛藤しながら書いておりますけれど。

でも、「もっと払いたい!」っていうコール、五十嵐さん本当に嬉しかったんじゃないのかな。
もしフォローしてくださっている方の中にいらっしゃるなら、本当に拍手贈りたいですよ。

もし、その全てが計算づくで演技だったとしても、その徹底したショーマンシップにも私は拍手を贈りたいし、それはそれで舞台に立つ人間としてサイコーに尊敬できます。

とにかくなんか、この二日間のライブを通して、
「そうか、シロップは今でも、自分たちのあり方に対して様々な葛藤と模索の中に居て、だからこそ今でも完成することなく成長を続けていて、それでも、最初からずうっと変わらない芯も同時にあって、だからこんなに魅力的なんだ」
と、すごく再確認したんです。

今までのツアーって、必ず演奏面で五十嵐さんがなんかしらミスってたんですよね、歌詞飛ばして黙っちゃったり、ギターソロ弾けなかったり。
それはそれで風物詩みたいな感じで「そういうキャラ」として成立していて、「別にこっちも完璧な演奏は求めてない」みたいな空気だったんですけど。

今回、一曲目でいきなり弦ブチなどのトラブルこそあったけれども、特に一日目については、感動するレベルで演奏が完璧だったんですね。

明らかに、ロックバンドsyrup16gというカタマリとしての演奏スキルが、冥途休暇を経てめっちゃ上がってるんです。

「ずっと目をつぶって聴いていたい」って思った。
それでも欲が出て、眼を開けてシロップを凝視しちゃいましたけれど。
でも、安心して漬かっていられるシロップだったんですよ、本当に。

もう、五十嵐さんの演奏家としての弱みすら、なくなっちゃった。

サイコー。

メンバー全員40半ば〜50歳でまだまだ伸びしろたっぷりって、ヤバくないですかsyrup16g。

終わらない。
syrup16gは、終わらない。

解散して、すっかり終わっちゃったかと見せかけて、なんですか。
全然終わらないじゃないですか。

まだまだ、私を飽きさせてくれない。

きっと、かならず、次がある。
そしてそのまた次がある。
まだまだ期待させてくる。ファンをやめられない。

「昔みたいなsyrup16gが見たい」なんて思うスキもない。
いつも、「この前のツアーも最高だって思ったはずなのに、その思い出を今回のツアーが上書きしちゃう」現象が起きる。

ボジョレー・ヌーヴォー現象。

まだまだまだまだまだまだまだまだ見せてくれる。
私みたい骨の髄までイタいファンを、語らせてくれる。

ヤバい。

syrup16g、ヤバい。

わし、まだまだまだまだ死ねない。

寿命は順番です、私はシロップの面々よりおよそひとまわり若いです。
だから私は、いつか来るsyrup16gの完成を見届けるまで、どんなに死にたくなっても、どんな病気にかかっても、死なない。

絶対、完成形のシロップを見届けたいと思います。

そしてそれが、3〜40年ぐらい先だったらいいなって思います。

その時はきっと、I’m 劣性を演ってほしい。

それってサイコーじゃないですか。

あ〜〜〜〜〜〜、
私はね、シーンスルーはすごく私の中で、悲しい曲だったんですよ。
でも、このライブで、「雨上がりの爽やかな風が、頬をするりと撫でて通り過ぎていくような」という感触の曲に変わった。

あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、
あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、
あんまり語ってしまうと、人それぞれの感じた思いを上書きしてしまう恐れがあるから、やめときますね、でも、あぁ〜〜〜〜〜!!!!!!

本当にサイコーの二日間だった。

また、新しいシロップが見たい。
Find the answer、涙が出るかと思った。
迷惑公演のアンコールに旧曲入れないで済むぐらい、解散後のシロップをいっぱい溜めていってほしい。

もう、もうもう、もう、
なんて言われても構わない、盲目だろうと、全肯定がイタかろうと、神格化と言われようと、構わない。

シロップは、サイコー。

私の唯一神であり、それでいて電車でたまたま隣に座っている音楽好きの知らんオッサンのようでもある、サイコーのロックバンド。

「私の」という点において、異論は認めない。

シロップさいこーーーーーーー!!!!!!!!!!!