”届ける力”について考えることしきり

私は、やや手前味噌ながら、「自分の作品は、響かない人には響かないけれども、響く人には響く」ぐらいの認識をしています。

正直言って、評価数で言うと「大手には勝てやしねえ」といったところで、自分可愛さに贔屓目で見ても「鳴かず飛ばず」の部類と言って差し支えないと思います。
私の場合、作品とは別の部分でご評価をいただいてるところもあるので、明確には申し上げられませんが……。

まあ、とりあえず私自身の話はいったん置いておきまして。

この世、「めちゃくちゃいいものを作っているのに、なぜ鳴かず飛ばず状態なんだ、なぜ誰にも気づかれてないんだ」という人、多すぎません?

この話って、ともすれば上から目線になってしまいかねない事柄ですから、なるべく慎重に書きますけれども、とにかくですね、どう考えても私よりもいいもの作ってる人がね、うーんなんて表現したらいいのかな、「世間側が追いついてない、見つけきれてない」事案が多すぎるんですよ。

ほんとは、人のこと見て「なんでこんなにみんな素通りするねん、めっちゃええやんけ!!!気づけよ!!!!!!!」とか思うのって、一歩間違えたらめちゃくちゃ失礼にもなりうることで、あまり書くべきことではないのかもしれないんですけど……

真摯に地道にやってる人がね、数で数を呼ぶようなやり方して表にグイグイ出てきてる人に負けてるかのような感じになってるのが、私、くやしくてねえ。

フォロワー10万人とフォロワー10人だと、同じこと言ってても、扱われ方は違うのよね。
それってつまり、同じクオリティのものを作れたとしたら、フォロワー10万人のほうが説得力があるということになっちゃうのよね。
例としてフォロワー数という指標を出したけれども、これは色々なものに置き換えられますわね。
誰それと友達だの、大手企業勤めだの、なんだのかんだの。

いや、それも立派な戦法なんですよ。まずは気づいてもらえないと良さもわかってもらえないですから。
わかるんですよ。わかるんですけどね。
単に不器用、単にひかえめな性格っていうだけで、同じぐらいすてきなものを作ってても埋もれるっていうのは、なんか私、やなのですよね。

みんながそういう「すごそうフィルター」みたいなものを外してフラットに見てくれたらいいんだけど、そうはいかないんですよね。

じゃあ、自分の作るものに自信があればこそ、フォロワーを金で買ってみたり、広告宣伝費をガッツリ出してなんかしてみるか?
っていうと、私の感覚では、「それがやりたいわけではない」んですよ。

私個人の理想としては、「お客さん全員の誕生日言えるよー」ぐらいの、血の通ったやり方をした上で、それで生計ぐらいは立てられる流れにしたいんです。
「知らない人」相手じゃなくて。
ほんとはですね。
それが実際どこまで出来るかは置いといて、理想の話ですけど。

甘いって言われてこの考え方やめるつもりは今のところ無くてですね、それを目指したいし、私にはそれしか出来ない気がしてるんです。
やっぱり、なんやかんや文句言いつつ、親の影響なのかもしれないです。

私の両親は30年くらい、ちーーーっちゃい居酒屋をやっているんです。一見さんなんかほとんど来ないようなひなびた赤ちょうちん。
見てると、お客さんの名前やら仕事やら、何が好きで何が嫌いやら、いちいちよく覚えてるんですよね。

うちの親の場合は、「手広く届ける」じゃなくて「波長の合う相手に深く届ける」スタイルを取ってるということだと解釈しました。
それから、たぶん親の店の場合、「店にお客さんつけてる」というより「自分にお客さんつけてる」みたいなところがあるんじゃないかなあ。
なんというか、私に輪をかけてアレなんですうちの父親。でもそれだけにキャラは立ってるので、そこを気に入ってくれた人が通ってくれてる感じですかねえ。
もちろん、料理の味はちゃんとウマいという、飲食店として最低限の前提がありますけど。
だから、サービスにプラスアルファしての「人」ですよねえ。

ときに、私にはいま、課題がございましてね。

熊本ね、絵が大好きで、ご自身で描かれる方がね、多い印象なんです。
絵に限らず、さまざまな分野のアーティストさんが多いように思います。

なんですけど、「アートを鑑賞したい」と思っている側とうまくマッチングしてない現状がある気がするんですよ。
橋渡しになるところがなかなかない。

かつ、私は、「アーティストからやる気料を取るみたいなスタンスを、できうる限りなくしていきたい」という気持ちがあるんですね。

やる気のあるアーティストさんからお金取るのって、かんたんなんですよ。
前述の通り、やりたい人は多いですからね。

でもね、私ねえ、理想を言うと、でっきるだけその「やる気料」みたいな部分をナシか、ナシが無理でも本当に運営に必要な最低限だけ頂戴して、つくる側の活動コストを可能な限り軽くしたいんです。

それでどうしたいかというと、「その浮いたお金で、積極的に『鑑賞する側』にも回ってもらって、『アーティストさんには対価を支払うもの』っていうのを当たり前にしまくってもらいたい」のですよね。

それで、うまく裾野が広がって、文化が活性化していかないかな……という算段です。
時間はかかると思いますけどね。

って考えた時に、私の役目として、「届ける力」をつけることが必要なんですよ。人様の作品を預かることにもなるわけですから。
たぶん私の場合、親と同じで「広く届ける」じゃなくて「狭く、でもその層にはかなりグッとくる」を目指すのが向いてると思うんですけれど。

なので、ちゃりんこ支店は継続だな。と思ってます。気候のいいときに。
あとマルシェとかに積極的に出店しよう。
顔の見えない不特定多数相手は、たぶんあんまり向いてない。ネットでもオフラインでも、なるべく接客を伴ったやりかたをしようと思っています。

「ほんとはもっと人に見てもらいたい」と思ってる人に、「まかせとけ!」って言えるようになれたらいいな。

なんかそんなかんじです。

この記事、具体的なこと、何ひとつ言ってねえな。

だめだこりゃ。