私は、絵を描くとき、あんまり何も考えていません。
夢中になって描きます。
でも、描いたものが出来上がって、それをパッと見た時には、いろんなことを考えます。
恥を忍んで言うと、描いたものがいい出来だった場合、私は、
「こんなによいものを世界中で私しか知らないなんて、なんてもったいない」
そんなふうに感じています。
そして、「これをどうにかしてフィットする人に見てもらいたい」と思い、どうやったら見てもらえるか考えて、アピールします。
描いている時には誰のリアクションも考えずにただ自分と向き合っている、これは間違いないのですが、描き終わったあとには、この世で一番私自身をひいきにしてくれる宣伝マンのようなマインドに変わっています。
これは、うまくコントロールして使い分けることができたら、強いのでは?
「人のリアクションを気にしないで作る」
「人のリアクションを求めて宣伝する」
を完全にわけて考える。
一見矛盾するこれらを、ひとりの中で解決する。
例えるなら……うーん……
自分の中に小人さんをイメージして、自分の中で、実際は一人なんだけど、頭の中では複数の工場をもって、完全分業化するっていうか……。
これを上手く出来たら、いろんなジレンマから解放されるんじゃないだろうか!? などと、考えておりました。
今ほら、一人でできちゃうじゃないですか。制作から宣伝まで。
でもねえ、やっぱり自分で作ったもの自分で宣伝するの、どうも心の置き場所がむずかしくて。
お金が絡んできちゃったりすると特に、なんか、お金に作品が汚されるんじゃないか!? みたいな感覚を無意識下で持ってしまったりとか。
でも、つくる自分と売る自分を、別々に考えればいいんじゃないだろうか?
たとえば、つくる自分と、パートに出勤している自分は、同じだけども少しだけちがいます。
それと同じで、つくる自分と売る自分をわけて、「割り切る」ってやつですよね、もう「宣伝は別の人がやってくれる」みたいな気持ちで、何も考えずにものをつくる。
で、「大好きなアーティストがつくったもの」のつもりで、売る。
「時間」が、そこをちゃんと分けてくれる。
シンプルに、作品ができあがるまでは「つくる人」
できあがってからは「売る人」
あ、なんか、心の底でモヤモヤと揺れてたものがちょっと晴れたかも、
そうか、自分の中で分業するっていうイメージを持ってみよう、一回。ためしに。
ちがうなって思ったら変えればいいだけですし。
あ、これ、いけるかも。
いえーい。